現計画案に関しての皆様の疑問に答える頁です
ご質問に対して私たちの考えを述べています
※町役場の説明はホームページや町議会への説明資料等に拠っています
軽井沢町の庁舎は1968年に本体工事費1億5100万円で建てられました。石本建築事務所設計案が「北欧風の建築条件に適合、一部3階建てながら威圧感を感じさせない」という理由で採用されています。一方中央公民館は、1976年竣工。軽井沢に名建築を残したアントニン・レーモンドの弟子で、日比谷図書館などを設計した高橋武士によるものです。

以下B案C案とは整備方法の違いです。B案は庁舎と中央公民館を解体撤去して中央に一つの建物を建てる案。C案は庁舎は新築し、中央公民館はリフォーム(部分的な工事)ORリノベーション(大規模改修)して使い続けるという案です。
【コストと財政の透明性】
Q. 軽井沢町の財政は将来まで健全、65億円の借金をしても安心できる?
→ 確かに近い将来、軽井沢町が財政破綻するとは思いませんが、十分に安心できる状態とは言えません。財政調整基金(2024年3月末時点で64億円)は浅間山噴火や集中豪雨による大規模な土砂災害など、不測の事態に備えるための重要な財源であり、町長も原則としてこれには手を付けない方針を示しています。一方で「軽井沢町公共施設等総合管理計画」においては、既存の公共施設およびインフラの更新などの費用が、現在の歳入規模では十分に賄えないとの予想が示されており、その不足が表面化してくるのではと推測します。このような状況下で、今回の新庁舎整備に伴う借金返済が新たな財政負担として加われば、今後町の貯金である財政調整基金を取り崩す可能性が生まれます。
Q. 面積を大幅に削った(14,200㎡ → 8,500㎡)のでは?
→実際は拡大しています。現在の庁舎と公民館を合わせた面積(約6,340㎡)よりも、新計画は2,160㎡も広くなっています。以前の計画が過大すぎただけで、現在の施設よりは大きくなっています。
Q. 物価高騰の中、今のうちに現行案を進めたほうが良いのでは?
→ 建設費が高騰している時こそ「総額が確定しないまま進めるリスク」を避けるべきです。現行の「設計・施工分離方式」では、設計が終わった後の入札で予算超過が判明し、計画が頓挫する例が全国で相次いでいます。一方で、大手ゼネコンが設計から施工まで一括で引き受ける「DB(デザインビルド)方式」を導入すれば、早期にコストと工期が確定し、民間企業のコスト管理能力を最大限に活用できます。「早く作る」ことよりも「納得できる予算で確実に作る」手法への転換こそが、真の物価高対策です。
Q. 基本設計まで依頼しているのに、ここで見直しとなったらこれまでの設計費用が無駄になるのではないか?
→ 確かに北海道の八雲町では庁舎建設事業が白紙になっても、隈設計事務所に支払われた1.9億円(基本設計と実施設計)が戻らない責任を、町が追及されているようです。軽井沢町の場合は、これまでの4.2億円に加え、さらに7.5億円以上の支払いがされるため、実施設計契約の前に十分な検討がされるべきだと思います。
しかも今回は極めて異例な高額設定です。
過去の軽井沢中学校の建設(山下設計)では、設計監理報酬は工事費の約5.7%でした。しかし今回の新庁舎計画では、工事費73億円に対し設計費等で11.7億円超と、約16%に達しています。建築規模は中学校より小さいにもかかわらず、設計費の割合が3倍近いのはなぜか。コンサルティング費用が含まれているとの説明ですが、その内訳と妥当性について、町は納税者に対し詳細を公表する責任があります。
Q. 外構費(外回りの整備)に14.5億円もかかるのはなぜ?
→ 9.2億円が敷地の整備費、3.8億円が公用車車庫の建設と説明されました。特殊車両のガレージは別として、一般車用のカーポートは特注のため高額です。特注にする理由が、いずれ太陽光発電パネルを取り付けるためであるならば、近隣住民を中心にきちんと説明しておくべきです。また整備費も9.2億円と巨額です。駐車場、道路、大ホールの野外席以外の部分は「段階整備」と先送りされているのにも関わらず。その理由は雨水を敷地内処理する必要があるためとのことですが、もっと詳しい説明が必要です。
【コスト削減への提案】
Q. 50億円も削減できるという根拠は?
→ 民間的な経営視点に立てば、以下の3点で約50億円の削減が可能です。
- 公民館の長寿命化改修:新築(87万/㎡⇒40億円)からリノベーション(9~14億円)へ切り替えることで、約26億〜30億円を削減。
- アスベスト対策費の回避:公民館を解体せず活かすことで、数億円規模の解体・処理費用を抑制。
- 資産の有効活用:北側隣地の購入に伴い余剰となる国道沿いの一等地(南側土地)を緑地化するだけでなく一部を売却または収益化することで、8億円以上の財源を確保。
これらを積み上げ、さらに過大な設計報酬を適正化すれば、住民サービスを維持したまま50億円規模の予算削減は十分に現実的です。「経営感覚を持った行政へ」を公約された土屋町長には、英断を求めます。
Q. 前計画より44億円削減したから「安くなった」と言える?
→そもそも以前の「168億円」という数字は確定したものではなく、比較対象にすること自体が不適切です。また設計側が見直しているのは面積の縮減だけです。以下の方法についても真剣に取り組むべきではないでしょうか。
※ 国内外のコスト削減事例に基づけば、建設費を抑えるためのアプローチには「規模の縮小」「設計の簡素化」「発注方式の工夫」「事業手法の転換」の4つの方法があります。
- 外観・意匠の簡素化: 特殊な形状のデザインや、全面ガラス張りなどを避け、直線的で標準的な建材を使用するシンプルな箱型デザインに変更します。
- DB方式(デザイン・ビルド): 設計と施工を別々の業者に発注するのではなく、設計・施工をセットで一つの業者に発注し、工期の短縮や責任の明確化、コストの削減を図ります。
- 長寿命化改修(リノベーション)
- 機能の分散: 全ての機能を一つの巨大な新庁舎に集約しない
Q. LCC(ライフサイクルコスト)は、B案とC案ではほとんど差はないのではないか?
■ 建設費の差:B案は解体費も含め、初期費用がはるかに高額になります 。
■ 維持費の差:B案は、中庭のある複雑な構造、吹き抜け、外壁のガラス面積の多さから、修繕費や清掃等の維持管理費が増大します。一方でC案は、熱の出入りの6~7割を占める窓(開口部)のサッシを、カバー工法で断熱性能が高い汎用品に換えれば、光熱費も新築と遜色なく節減できます。
→ 利用目的が大きく異なる庁舎・議会と交流センターを一体化するため、複雑な運用となって、設備投資や警備費がかさみます。維持管理については、単機能な建物の方がはるかに安くなります。LCC(初期投資+維持管理費+解体費)においても、C案のほうがコスト削減できます。
【環境性能と「100年建築」の虚実】
Q. エネルギー消費を抑えた環境に優しい施設計画と聞くが?
→ 軽井沢町は2050 年までに CO2排出量実質ゼロの達成を宣言していますが、実態は「環境先進都市」の看板に逆行しています。当初目指していた「Nearly ZEB(75%減)」から「ZEB Ready(50%減)」へと目標を下方修正し、さらにその対策予算さえ「将来対応」として先送りしています。また、2028年から算出・開示が義務化される「建築物LCA(ライフサイクルアセスメント)」の視点が欠落しています。改築(スクラップ&ビルド)は、建材の製造・建設・廃棄過程で膨大なCO2を排出します。既存の公民館をリノベーションするC案の方が、建物の一生を通じたCO2排出量を圧倒的に抑えられることは、現代の建築界の常識です。
※参考資料「Scrap & Build ではなくRenovation によるCO2排出量削減効果」
Q. 「100年建築」なら初期投資が高くても長期的にはお得では?
→ 設計者が謳う「100年」は、あくまで構造体の理論上の寿命であり、「100年間使い勝手が良い」ことを保証するものではありません。 むしろ、現行案のような「中庭を囲む複雑な大屋根」や「特定用途に作り込まれた空間」は、将来の行政ニーズの変化(DX化、人口減による減築等)に柔軟に対応できません。60年後には建設費と同等以上の修繕費がかかり、中庭の維持管理や複雑な屋根の補修など、次世代に莫大な負債(将来負担)を押し付けるリスクがあります。
※LCC(ライフサイクルコスト)で大きくコストが上振れするのは、①築30年、②40年後、③60年後です。いずれも大規模修繕で、60年後にはインフレを考慮しなくても、今回の建設費以上の出費を覚悟しなければなりません。
【住民の利便性と防災】
Q. B案であれば公民館での活動を休止することなく続けられるのでは?
→ C案(公民館はリフォームかリノベーション)では、建物を使用しながら、ほとんどの改修工事を行えます。設備関係で全館使用不能となる場合は、他の公民館や高齢者福祉会館を一時利用すればよいのです。またC案の方が明らかに全工事期間は短くなります。
Q. 交流センターは住民の語らいの場として期待できるか?
→ 軽井沢町の既存施設(アイスアリーナや各会議室等)の稼働率は軒並み低く、中には1%〜5%程度のものも少なくありません。 現行案の中庭は、周囲360度から視線を感じる構造であり、日常的にリラックスして語り合える場としての機能は疑問です。新たなハコモノを作る前に、ソフト面での活用策や、既存施設の稼働率を上げる努力を優先すべきです。
| 主要施設の稼働率(低稼働室の抽出) | 稼働率 |
| アイスアリーナ会議室 | 0.50% |
| 軽井沢図書館 テレワーク室 | 2.10% |
| 観光振興センター テレワーク室 | 5.40% |
| 発地市庭 そば打ち室 | 7.60% |
| 観光振興センター 会議室 | 10.20% |
Q. 新庁舎は防災拠点になるというが、浸水リスクは大丈夫か?
→ 計画地は湯川の氾濫区域に入っています。計画案では浸水リスクのため、現庁舎よりも北側に位置させ地盤も50cm嵩上げして建てるとのことですが、敷地内で高台にある中央公民館を残すことのほうがより現実的です。また庁舎と分棟化することにより、2棟の内1棟が被災して使用不能になった場合でも、1棟が残るリスクヘッジにもなります。
Q. 中庭は積雪や降灰に対して大丈夫か?
→ 多くの住民が疑問を呈しています。まず中庭への積雪は外に運び出すルートを確保していると言いますが、これはすべて人力に頼ることになります。さらに浅間山の噴火による降灰の堆積は数センチに及びます。軽井沢中が大災害に遭っているときに、中庭の火山灰撤去に人手をかける余裕はないのではないでしょうか。
【住民の声を聴く】
Q. 近隣説明会はどうなっているのか?
→ 工事期間中、最も被害を受ける近隣住民の方には、これまで一度も説明会も意見聴取もされていません。これでは実施設計を終えた段階で初めて近隣説明会を開き、後戻りできないと居直る民間ディベロッパーと何の変わりもありません。公共事業に対して理解を求める上での誠実さが感じられないのは問題です。
Q. パブコメ、おしゃべり会、住民意見交換会、説明会など、多くの場で住民の声を聴いているのでは?
→ 町が開催した意見交換会や説明会への住民参加数は、ダブリを除けばわずか378名だそうです。またそこであがった意見が、正確に報告されているのか、甚だ疑問です。一例として無作為抽出意見交換会の報告があります。役場側のまとめでは「公民館の議論は少なかった」とされていますが、住民アンケートを分析すると、実は「公民館や交流センターのあり方」が最も激しく議論されています。
※参加者のアンケートをAIに分析させました。
AI報告【軽井沢町新庁舎・公民館整備事業における住民意識の多角的一考察:無作為抽出意見交換会資料およびアンケート結果に基づく分析報告書】
Q. 庁舎周辺整備推進委員会で事業内容を検討してきたのでは?
→ 委員会の構成は職員8名関係機関8名その他8名で、当初はABCの設計案が比較検討されました。町長がB案を採択後は、面積や利用に関しての質疑となり、総事業費については「委員会の役割ではない」として議論されず。公募委員に不動産開発の専門家が2名いてもその知見が生かされることなく、町が決めた案に対して意見を述べるだけの形式的な場になっていました。
Q. 町職員を大切に←必要な機能はしっかり備えられているのか?
→ 現行の設計は、将来は業務のDX化で職員数が半減すると見込んだプランで、今後どのように運営されるかは試行錯誤となるようです。また多くの職員が自分のデスクが無くなるフリーアドレス設計*は、移行期に職員と来庁者双方に大きなストレスを与えます。
*オフィスで固定席を持たず、社員が空いている好きな席を選んで働くワークスタイル